9
日本で取得できるワイン関連の資格試験には日本ソムリエ協会(JSA)、全日本ソムリエ連盟(ANSA)、WSET ®の3つの団体の資格があります。いずれも民間資格です。一般的には、一般社団法人日本ソムリエ協会の「ソムリエ/ワインエキスパート」が有名です。今回はこの日本ソムリエ協会(JSA)が主催するソムリエ/ワインエキスパート資格試験についてまとめてみました。
日本ソムリエ協会(JSA)が主催するソムリエ/ワインエキスパート資格試験は、「ソムリエ」と「ワインエキスパート」に資格が湧かれています。ソムリエは酒類・飲料を提供する飲食サービスや仕入れや販売に関する業務経験が3年以上の方を対象としています。一方、ワインエキスパートはソムリエなどの仕事をしているが経験年数が3年未満の方やワイン愛好家などで酒類、飲料、食全般の専門的知識、テイスティング能力を有する方が対象です。(どちらも満20歳以上)
試験は、1次試験(筆記)と2次(テイスティング)があり、ソムリエのみ3次試験(サービス実技と論文)があります。1次試験はソムリエもワインエキスパートも共通です。
2次試験はソムリエとワインエキスパートで少し異なるのですが、ソムリエはワイン3種とハードリカーをブラインドティスティングします。ワインエキスパートワイン4種とハードリカー1種です。このテイスティングは、単純にそのワインに使われているブドウ品種や産地、ヴィンテージ(収穫年)を答えるだけではなく、外観や香り、味わいや提供温度、そのワインを飲むための適正なグラスなど様々な項目をチェックし、マークシート方式で解答します。
うーん、やっぱり難しそう!と思うかもしれませんが、これが分かるようになると本当にワインがまた一段と楽しくなります。
まず、1次試験の筆記試験ですが、ゆうに厚さ5㎝はあると思われる「教本」から、110~130問出題されます。世界各国のワイン産地と銘柄、使われるブドウ品種、醸造や栽培、ワインの取り扱いについて、さらにはチーズや日本酒についても問われます。これは、ソムリエという仕事はワインだけでなく、飲食に関する様々なサービスや販売に関する業務に対応するためです。
ソムリエは、アルコールを中心とした飲み物に関するサービスの他、フランス料理店などでは食後にチーズとワインを楽しむ時間があり、その対応もソムリエの仕事です。よって、どんなチーズがあるか、どのようなチーズとワインを合わせるとより楽しめるかなど知っておかなければならないのです。日本酒においては、日本ならではの項目ですが、アルコール全般をコーディネイトするソムリエとしては知っておくべき内容と捉えています。また2次試験のテイスティングではハードリカーの出題があるように、ウィスキーやリキュールなどについて理解を求められるのも、ソムリエとしての役割を物語っていると思います。
ワインエキスパート資格試験でも2次試験まではほぼ同様ですから、ワインが好き以上の情熱を求められます。実際にワインエキスパートを取得したことをきっかけに、ワイン関連の記事を書いたり、ワイン検定の認定講師(ワインエキスパートのみがなれる)になったりするなどワインを仕事にした人もいるようです。
日本ソムリエ協会のWEBから申込することができます。「呼称資格認定試験 Web出願」というページがありますので、そこから手続きをします。
例年、3月頃から出願サイトがオープンになりますので「Web出願」フォームにて募集要項を確認し、手順に沿って応募登録を進めます。2022年の申込締切日は7月15日(金)(18:00まで)となっています。試験料を納入し、出願が受理されると「教本」が届きます。
次に、1次試験の会場を予約します。出願したタイミングで会場予約の申込日と締切日が異なるので注意が必要です。
1次試験はコンピュータによる「CBT 方式」で、全国47都道府県内に指定された会場(約330会場)で受験が可能です。よって、1次試験は比較的近くで受験が可能なことが多いです。
また1次試験は2回まで受験することができます。1次試験の実施期間は約1カ月ちょっとありますので、作戦としては1回目を早めに受験し、試験の傾向と対策を掴み、後半の日程で2回目を受験するということがあります。合否は即日判明します。(試験終了後、10分程度で受験したパソコン上に表示)
1回でパスすればよいのですが、これがなかなか大変です。なので、日程上受験が可能であれば、2回受験を選び、前半と後半に分けて受験するのが得策でしょう。
1次試験に合格すると次は2次試験です。概ね10月に開催されます。1次試験に合格された人は、2次試験の受験票が届きますので、その受験票に記載された受験会場に出向き、受験します。
2次試験の結果発表は約1カ月後、日本ソムリエ協会のホームページで発表になります。例年、合格発表日の夕方17時頃に発表されます。
受験番号と氏名(カタカナ)で掲載されます。ソムリエの方のみ、この後3次試験に進みます。ちなみに、1次試験のみに合格した人は翌年の1次試験が免除になります。ソムリエ資格を受験の方で2次で不合格だった方は1次試験、2次試験が免除になります。
ソムリエ・ワインエキスパートの1次試験、2次試験を一発でパスする人は、過去5年間の平均で約35%程度です。なかなかの狭き門です。合格を目指してワインスクールに通うのも納得できると思います。独学で合格する人もいますが、学習時間の確保と合格するという強い意志が試されます。それでも受験者数は年々増えており、人気の資格です。ソムリエバッジにはやはり憧れますよね。
さて、お次は、実際にワインエキスパートを受験し見事一発で合格した人や、まさに合格を目指して奮闘中の方の様子をレポート致しますね。
END
<この記事に関連するワイン>
↓2次試験対策にぴったりなワインセット↓